オランダの大日如来 (追記)
無宗教と言っていいと思う。
関わる機会が少なかったからかもしれないが、特に仏教はどこかオドロオドロした印象を子供の頃から持っているし、大人になった今でも、法事などでお寺に行くと、何か不気味な感じがしてしまう。住職の方、実家がお寺の方には申し訳ないが。
でも、ライデンの民族学博物館にある The Buddha roomには暗い雰囲気はない。
とても神聖で平和な空間、心が清らかになる。
大好きな場所の1つだ。
この仏像は、徳川将軍家とゆかりの深い、東京・芝の増上寺から来た、薬師如来、一字金輪、大日如来。1648年に奉献された仏様。1883年にアムステルダムで開かれた 国際植民地博覧会 (International Colonial Exposition)で日本政府から購入された。
家族と博物館にきた5-6歳ぐらいの兄弟は、それまで楽しそうにお喋りしていたのに、この部屋に入った途端 小声になった。
仏様の前で、ジッと目を閉じてたたずむ男性。
無宗教なのに手を合わせる私。
仏像はとても大切な物で尊いものだと思っていたが、売られてしまった仏様だと知ってショックだった。
どんな気持ちでこんな遠くに来たのだろう?
やっぱり、寂しいよね、などと思ってしまう。
だからかもしれない、日本で見る仏像はおっかないが、ライデンの仏様は身近な気がする。もう、日本には帰れないだろうな。可哀そうだ。
(追記 / 2022年12月27日)
年上のカナダ人の友人が次の様に教えてくれた。
「仏様(Buddha)はどこにでも行くんだよ、人々に幸せを与えるために。もし、仏様が旅をしなかったら、未だにインドの小さな村にしかいない事になる。でも、日本まで旅をしてやってきたでしょ。この仏様たちもオランダの人達に幸せを運びに来たんだよ」。
彼の考えは正しいかもしれない。
可愛そうな仏様ではなくなった。暖かい仏様だ。