ゴッホの庭仕事

植物の事、宝物の事、オランダの事などのメモ帳です。

古本屋で発掘した 5.5キロの本

 

「ここには何かあるぞ」と その古本屋に入ってすぐに思った。

写真集があるし、背表紙が茶色くなった本が何冊も本棚に並んでいた。店内は清潔で、お客さんはリラックスして本を探している。何より、若い男性の店員が笑顔で挨拶をしてくれた。

 

そして宝物を掘り当てた。

 

 

この宝物は厚さ10センチ、重さが5.5キロある。
家までバスとトラムと電車を乗り継いで1時間半もあり、持って帰るのに一苦労したが、帰り道、早く見たいとウキウキし通しだった。読むのではなく、見る本。

 

表紙を開けると次のように書いてある。

One Hundred Years of Human Progress, Regression. Suffering and Hope.

(人類の進歩と後退の100年間。苦しみと希望)

 

1899年から1999年の100年間に、その時代を代表する場面を写した写真集だ。

20世紀は戦争と暴力の世紀だったのだとよくわかった。前向きな明るい写真は少なく、寝る前に見ると寝つきが悪くなる写真ばかり。

1900年に撮影された写真には 中国で活動する日本軍が写されていた。目をそむけたくなる写真。もっと歴史を勉強せねばと思う。

 

写真下 パブロフの犬(Pavlov's dog)

理科の授業で「鈴の音を聞くと犬がよだれを垂らす」という話で「条件反射」を学んだ。そう、パブロフの犬

鈴の音を聞かせてから犬にエサを与え続けると、エサがなくとも犬は鈴の音を聞いただけで よだれを垂らすと言う、あの話だ。これはアメリカの実験だと思っていたが、パブロフはロシア人だった。もっと勉強せねば。そして、それは1904年にされた実験だ。

 

100年以上も前の実験を未だに教材として使用している訳だが、科学はあまり進歩していないのか、あるいはこの発見が偉大だったのか、いずれにしてもそんな昔に見つけた事を未だに子供たちが学んでいると知って面白かった。どの位の人がこの事実を知っているのだろう?

 

ちなみに、パブロフの犬の上の写真には、Russians fleeing Shanghai as the Japanese reach the city (日本軍が上海に到着して逃げ惑うロシア人)という、タイトルが付いている。またしても日本軍が登場している。

 

高校生の頃、初めて海外から日本を見た時、日本の事がよく見えると思った。
外に出ないと見えない事がある。

それは、その後もずっと感じている事で、外に出て初めて判る事実がある。
この本を手に入れたことで、更に知らなかった日本が見えてきた。

 

1120ページ。
読み応えのある宝物を手に入れた。