ゴッホの庭仕事

植物の事、宝物の事、オランダの事などのメモ帳です。

温かいトンさんのクリスマスカード

 

帰宅したら、クリスマスカードがポストに入っていた。誰だろう?

差出人はご近所のトンさんと奥様だった。
お二人は私より年上。もう、リタイヤされている。

トンさんは頭は短く刈り込み、首にシルバーの太いネックレスをしている。いつも半袖で、寒くなってもなかなか上着を着ない。太い腕には入れ墨がある。それが色あせてて、またカッコいい。若い頃はヘビー級のボクサーだったはずだ。

大きな体で強そうだけれど、トンさんはやさしい。ボーという名の小さな犬と散歩をしながら、何かと声を掛けてくれる。私はオランダ語が苦手でトンさんは英語が苦手。だから、お互い、何を話しているのか、結局わからずに別れる。それでもトンさんは大きな声で声を掛けてくれる。

 

そして、私の名前を知らない。
だから、クリスマスカードの宛名には「???」とはてなマークが3つ書いてあった。それを見て、なお更、心が温かくなった。名前も知らないのにいつも気にしてくださっていることが。人に気にかけてもらえる事、なんて嬉しいんだろう。

 

 

時々、釣竿を持って釣れない釣りに出かける。

オランダは釣りをするにはラインセスが必要で、地域の釣りクラブに所属しなければならない。釣りクラブは定期的に釣り雑誌を送ってくれるが、ある時から、誰かが同じ雑誌をポストに入れてくれるようになった。1度などは、釣りに使うルアー(疑似餌)が入っていた。誰だろう?

 

ある日、ボーと一緒に散歩をしているトンさんがいつもの様に話しかけてきた。
そして、なぞが解けた。

トンさんが私の事を「シーバス マン (Sea bass man)」と呼んだからだ。シーバスとは海で釣れるスズキという魚の事。釣竿を見てシーバス釣りをしていることを知り、自分の釣り雑誌をポストに入れてくれていたのだった。

トンさんはなんて優しいんだろう。

 

だから、いつも釣り雑誌が2冊になる。
でも、オランダ語だから内容は判らない。