ゴッホの庭仕事

植物の事、宝物の事、オランダの事などのメモ帳です。

クリスマスローズのタネ

Helleborus orientalis

社会人になって3年目の夏、上司から台湾に行って欲しいと言われた。当時、種苗会社に勤めていてタネの生産圃場の調査が仕事だった。スマートフォンが発明される前の話、黄色い表紙の「地球の歩き方」と上司が書いてくれた手書きのメモ数枚を頼りに出かけた。結局はお天気次第、誰が行っても同じ。採れる時は採れ、ダメな時はダメと大らかに考える時代だった。

今のタネ生産は緻密に計画され、専門のスタッフによって管理されている。時代は変わった。ただ、タネは生き物。テクノロジーが進んでも発芽が難しい植物がある。例えば、クリスマスローズは均一に発芽させるのが難しい。難しいと言うかコツがいる。

クリスマスローズの育種家を訪問した。苗を購入させてもらう約束をしていたからタネ播きの様子を見に行った。原始的であるが、なるほど、だから発芽が揃うのかと納得するやり方だった。テクノロジーとは程遠い、手作業と経験による作業。写真のタネは、来年5月に苗になり日本に輸出される。

 

クリスマスローズは鉢やポットで流通しているが、数は少ないが切花用の品種もある。バラやキクみたいな草丈を作るのは到底無理。それでもブーケに丁度いい長さになってくれる。切花生産してくれる作り手さんが増えてくれたらと思う。